「○○は好投するのですが打線の援護に恵まれずここまで負けが先行しています」
このような言葉を聴いたことは無いでしょうか?
この逆で、打たれても打線が大量得点で援護して勝利数を稼ぐ投手も多いかと思います。たとえば一昔前の西武戦での前川とか。
さて、話が逸れましたが、この「打線の援護に恵まれていない」「打線の大量援護に恵まれる」といったものを、データを使ってわかりやすく表せないかと去年当たりから考えていたのです。不運の帝王である後藤光貴を思うたびに。
そこで、援護率というものを考えました。これは「その投手がマウンドに上がっている間にどのくらい仲間が得点を取ってくれるか」を表すものです。
計算式はこんな感じ。
(味方の援護点数×9)÷攻撃イニング数(*1)
防御率と同じような計算式で、要するにその投手が1試合完投したら(9イニングの攻撃で)味方は平均何点取ってくれるかということです。
この数字が大きければ大きいほど、「味方の援護に恵まれ、少々打ち込まれても打線にひっくり返してもらえる」幸運な投手と言えるのではないかと思います。
ま、所詮は平均値であり、自分の失点よりも常に1点少ないような援護のされ方の場合も考えられるため、一概に幸運な投手とは言い切れないでしょうけどね。
まあ何にせよ、「完投してもチームは2点取れない」ような投手は幸運とは言えないことはわかります。このデータは「援護率王」を表すのが目的ではなく、「不運王」を求めるために作ったようなものですから、それが当然といえば当然なのですが。
ということで大したデータではない上、手作業での集計が主なので間違いもあるかもしれませんが、「ああ、この投手は今年はあまり援護されてないんだな」とか「この中継ぎが投げている間は味方の援護がありそうだから逆転できるんじゃね?」とか「今日の先発の○○は完封しなきゃ勝てないんじゃ…」とか、ちょっとでも観戦知識の一部として参考になればと思っております。
ちなみにデータは規定投球回数到達者のみのランキングと、全投手のランキングで示してあります。なお、援護率が"----"になっている投手は、まだ味方攻撃イニングがない投手ということになっています。
算出方法のもうちょい詳しい説明
攻撃イニング=投球イニングというわけではなく、その投手がマウンドに登っている間に自チームが攻撃したイニングのことを攻撃イニングとして定義します。
…説明が下手で判りにくいので例を挙げて説明しましょう。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
近鉄 | 0 | 5 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 |
西武 | 1 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6x | 10 |
登板投手のイニング数は
近鉄 | 西武 | |||
阿部健 | 3 | 大沼 | 1 2/3 | |
有銘 | 3 2/3 | 長田 | 3 1/3 | |
福盛 | 0 2/3 | 星野 | 1 1/3 | |
吉田 | 0 2/3 | 森 | 1 2/3 | |
カラスコ | 0 1/3 | 小野寺 | 1 |
となっています。
まず近鉄の投手から見ていきましょう。
阿部健投手は西武に対して3イニング投げており、3回裏終了時までマウンド上に居るということになります。ということで彼がマウンドに上がっている間の味方の攻撃イニングは、1回~3回はもちろん、4回表もカウントされるため、攻撃イニング数は4イニングとなります(以下参照)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
近鉄 | 0 | 5 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 |
西武 | 1 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6x | 10 |
ということでこの試合での阿部健投手の援護率に関する成績は、得点5・攻撃イニング数4となるわけです。
同様に有銘投手を見ると、4回ノーアウトから3 2/3イニングに登板したわけですから、7回裏の途中までマウンドに居たことになります。
ということは有銘投手の登板中の近鉄の攻撃イニングは、5・6・7回で計3イニングとなります。7回裏の途中で降板したため、8回表は攻撃イニングには入りません。面倒だけど簡単ですね。
続いて福盛投手が2/3イニングに登板しました。7回裏終了時にはマウンドに立っているので、8回表の攻撃1イニングが彼の攻撃イニングとなります。同様に吉田投手は9回表の攻撃1イニングが攻撃イニング。
で、カラスコ投手。抑え投手に多いのですが、この場合は登板イニングはあったものの攻撃イニングは無い投手となります。(もし1イニング無失点に抑えたとしても次の回に近鉄の攻撃はもう無いので攻撃イニング無し)
で、西武の投手も同様に計算できます。なお、最後に登板した小野寺投手ですが、9回表1イニングを投げており、攻撃イニング数として9回裏の1イニングがカウントされます。
9回裏の西武の攻撃は1アウトの時点でサヨナラ勝ちをしているため、実際の攻撃イニング数は1/3として計算するのが正しいかもしれませんが、面倒なので1イニングとして計算します。つまりどうやっても攻撃イニング数は整数にしかならないということです。いや、ホント面倒になりそうだったので…。
ってことでこの試合の攻撃イニング数・援護点は以下のようになります。
近鉄 | 攻撃回数 | 援護 | 西武 | 攻撃回数 | 援護 | |
阿部健 | 4 | 5 | 大沼 | 1 | 1 | |
有銘 | 3 | 1 | 長田 | 4 | 3 | |
福盛 | 1 | 0 | 星野 | 1 | 0 | |
吉田 | 1 | 0 | 森 | 2 | 0 | |
カラスコ | 0 | 0 | 小野寺 | 1 | 6 |
以上が一応説明です。逆にわかりにくかったかも知れませんが、本当に面倒なだけで大した計算じゃないのであまりお気になさらぬよう…。